初心者でもわかる!小学校のプログラミング学習内容と狙い、授業事例とは?

 
小学校で始まったプログラミング学習って実際何をするんだろう?

この記事では、小学校で行われるプログラミング学習について、なぜ始まるの?何を勉強するの?という疑問についてお答えしていきます。

「プログラミング」と聞くと難しそうに聞こえますが、私もプログラミング初心者ママです。

そんな私が文部科学省が公開する全71ページの大作「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」を読み込んだので、同じくプログラミング初心者のパパママに向けて分かりやすく解説します。

新しく導入されたプログラミング学習の内容を親が理解することで、自宅やそれ以外の場面でも子どもの学びを一緒にサポートしていきましょう!

プログラミングはやらない?!よくある勘違い

  • パソコンに向かって、英語の文字列を書いていく
  • 国語や算数とならんで「プログラミング」の時間が作られる

小学校のプログラミング教育について、こんなイメージをしている方も多いと思います。

実は、これらは両方とも「間違い」です。

 
プログラミングの授業の時間が増えるわけではないよ!

私も当初は、プログラミングの時間にパソコンで難しい英語の文字を書くのかと思っていましたが、どうやら違うようです。では、具体的にどのようなことが行われるのでしょうか?

小学校でプログラミング必修化はいつから?学習内容とは?

2020年度より小学校の学習指導要領が改定され、プログラミング学習が授業に組み込まれるようになりました。

実は、プログラミング学習は決まった内容がありません。国語であれば、何年生でXXの漢字を習うと決まっていますが、プログラミング学習においては各地域の教育委員会や学校・教師に一任されています。

では先生方はどのように授業内容を決めているでしょうか?文部科学省が掲げる「プログラミング学習の狙い」を達成するため、すでにある授業科目(国語や算数等)やそれ以外(クラブ活動等)の時間を使って、地域や生徒にあった内容を実施することになっています。

 
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プログラミング学習の内容は学校やクラスごとに違うんだね!

では「プログラミング学習の狙い」とは何なのかをみていきます。

なぜ小学校でプログラミング学習が始まるの?その狙いは?

そもそもプログラミング学習が導入される背景は「コンピューターの仕組みを理解し、活用していく力をつけることは情報化社会の中で重要である」という考えのもと始まっています。そのため、子どもたちが「プログラミングの技能を習得すること」は狙いではありません。

プログラミング学習を通じて文部科学省が掲げる狙いは3つあります。

  1. コンピューターに指示を出すための論理的な思考能力(プログラミング的思考)を養うこと
  2. 身の回りでプログラミングが活用されていることに気づき・興味を持つこと
  3. プログラミングを活用し他の教科の理解を深めること

プログラマーに求められるスキルを学ぶわけではありません。その土壌である「論理的思考」「世の中の仕組みの理解」をした上で「既存の教科の学びを深める目的で活用しましょう」という狙いです。

 
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プログラマーに求められる論理的思考能力を身につけて、プログラミング自体に興味を持つことを大事にしているんだね!

興味がある方は、文部科学省の手引きから「プログラミング学習の狙い」(原文)を引用したのでご覧ください。

1.「プログラミング的思考」を育むこと

2. プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと

3.各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること

小学校プログラミング教育の手引(第三版)文部科学省

また、「プログラミング的思考」についても記述があります。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

小学校プログラミング教育の手引(第三版)文部科学省

なお、こちらの記事でCA Tech Kidsの代表インタビューを読むことができます。裏話として

プログラミング学習の導入は、楽天・三木谷社長が声をあげたこと
実際にプログラミング技能を身につける授業を行いたかったこと
小学校≠職業訓練校のため、特定の職業に必要な技能を習得させる授業はできなかったこと

ことが書かれています。色々と紆余曲折があり今の形になっているんですね。

小学校のプログラミング学習の授業事例

プログラミング学習の「狙い」だけを示されても各教育委員会や学校は困ってしまいます。そこで、授業案を考える先生方向けに「小学校を中心としたプログラミングポータル」という情報サイトが用意されています。先生方はポータルを参照しながら子供たちにあった授業内容を考えているそうです。では、いくつか授業例を見てみましょう。

教師向け学習情報ポータル「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」

算数:正多角形をプログラミングで書く

正多角形は「辺の長さが全て等しく、内角の大きさも全て等しい」という性質の学びを深めています。手書きでは書けない正八角形のような図でも、コンピューターに指示を出すことでキレイに書くことができています。

総合的な学習:自動車に搭載された技術と私たちの生活を便利にするプログラム

日産自動車と協力し、安心安全の車社会を実現するためにプログラミングがどう生かされているかを学び、実際に自動運転と衝突回避ブレーキのプログラミングを体験しています。

中学校・高校へと続くプログラミング学習

小学校で行われるプログラミング学習、そこで終わりではなくその後の教育課程へも続いていきます。

中学校:2021年より「技術」の授業の中でプログラミングの学習内容が拡大

高校:2022年度より「情報I」が新設されプログラミング学習が必修化

小学校の学習指導要領だけでなく、中学校・高校でも順次プログラミング教育の拡充が行われていることが分かります。

小学校のプログラミング学習の限界

お気づきかと思いますが、プログラミング学習の導入には、まだまだハードルもあります。

  • プログラミングに必要なIT環境(PCの台数やスペック)が整備されていない場合がある
  • 学校や先生方に裁量が大きくリテラシーが求められ、授業の質も様々である可能性
  • プログラミング技能を習得する時間ではなく、興味関心の高い子には物足りない可能性
  • 教科として設定されていないため、単純に時間が限られる
 
ただでさえ忙しい学校の先生。プログラミング学習もやるなんて、とても大変そう…。

まとめ

小学校では広く浅く、子どもの興味や関心を引き出してあげることが大事です。その点、小学校のうちは身の回りの様々なものが「プログラミング」によって動いており、自分たちでもそのプログラミングをすることができると理解をすることは大きな意味があります。

一方で、実際に興味を持ち「プログラミング」をやってみたい!という子どもが、公教育だけでプログラミングを体験し、実際に身につけようとするのは厳しい可能性があります。子どもの興味関心に応じて、家庭を通して子どものプログラミング学習のサポートをしてあげることが必要でしょう。

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